内科・循環器内科・消化器内科
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腹痛をきたす疾患の種類と診断

■ 腹痛とは

腹痛は消化器内科を受診するもっとも多い症状のひとつです。
原因は軽い胃腸炎から、手術が必要な虫垂炎・腸閉塞・癌などの重篤な病気まで多岐にわたります。
痛みの部位・性質・持続時間・随伴症状(発熱、吐き気、下痢など)を丁寧に確認し、
適切な検査を行うことが正確な診断につながります。


■ 上腹部の痛みを起こす主な疾患

  • 胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
     ストレスやピロリ菌感染、鎮痛薬の服用などが原因で起こります。
     みぞおちの痛み、胃もたれ、空腹時痛、吐き気などが特徴です。

  • 胆石症・急性胆のう炎
     右上腹部の強い痛みが背中や右肩に放散し、発熱や嘔吐を伴うことがあります。

  • 急性膵炎
     みぞおちから背中にかけての強い痛み。アルコールや脂質の多い食事がきっかけになることがあります。

  • 胃がん
     初期は無症状のこともありますが、進行すると上腹部痛、食欲低下、体重減少、吐き気などが現れます。
     胃内視鏡検査による早期発見が重要です。


■ 下腹部の痛みを起こす主な疾患

  • 急性虫垂炎(盲腸)
     初期はおへそ周囲の痛みから始まり、次第に右下腹部に移動します。
     発熱、吐き気、白血球増多などを伴い、手術が必要になることがあります。

  • 大腸憩室炎
     中高年に多く、左下腹部痛・発熱・便秘や下痢などを伴います。
     再発を繰り返すこともあり、重症例では入院加療が必要です。

  • 虚血性腸炎
     大腸への血流が一時的に悪くなり、粘膜が炎症や潰瘍を起こす疾患です。
     食後や排便後に下腹部痛が起こり、鮮血便を伴うことが多いです。
     高齢者や動脈硬化・便秘傾向のある方に多くみられます。

  • 大腸がん
     初期は自覚症状が乏しいですが、進行すると便通異常(便秘や下痢の繰り返し)、血便、下腹部痛などが出現します。
     便潜血検査や大腸内視鏡検査による早期発見が大切です。

  • 婦人科疾患(卵巣嚢腫のねじれ、子宮外妊娠など)
     女性の場合、急な下腹部痛や出血、貧血症状がある場合は婦人科疾患も考慮します。


■ 広範囲または突発的な腹痛

  • 腸閉塞(イレウス)
     お腹の張り、嘔吐、排便・排ガスの停止などが特徴です。
     手術後の癒着や腫瘍が原因となることがあります。

  • 腹膜炎
     腹部全体が激しく痛み、発熱やショック症状を伴う危険な状態です。
     早急な治療が必要です。

  • 尿路結石
     背中から脇腹にかけての激しい痛みと血尿を伴うことがあります。


腹痛の診断に行う主な検査

  • 問診・診察:痛みの部位、性状、持続時間、発症状況などを詳しく伺います。

  • 血液・尿検査:炎症反応、肝胆膵酵素、腎機能、尿路感染の有無を確認します。

  • 腹部エコー(超音波検査):胆石、肝臓、膵臓、腎臓、大腸の状態を観察します。

  • CT検査:虫垂炎、腸閉塞、虚血性腸炎、腫瘍の有無などをより正確に評価できます。

  • 内視鏡検査:胃や大腸の粘膜を直接観察し、潰瘍・ポリープ・癌の有無を確認します。

  • 経験を積んだ専門医であれば問診だけでおおよその診断がつきますが、確定診断にはCTや内視鏡の検査が不可欠です。


■ 早めの受診が必要な症状

次のような場合は、早期の受診をおすすめします。

  • 突然の強い腹痛や痛みの増悪

  • 発熱、吐き気、血便、黒色便

  • お腹の張りが強い、排便・排ガスが止まる

  • 食事がとれないほどの痛み

  • 痛みが繰り返す、または数日続く

  • 高齢者、基礎疾患(動脈硬化、糖尿病など)のある方


■ まとめ

腹痛は「よくある症状」ですが、その中には腹膜炎や消化器がんなど、早期発見が重要な病気も含まれます。
自己判断せず、強い痛みや出血がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

当院では、腹痛の原因を正確に診断するためにCT検査・エコー検査・血液検査を行い、
必要に応じて内視鏡検査や専門医療機関への紹介を実施しています。